ネタ蒔き時
ネタ蒔き時の枕草子 第二十話「石鍛冶解禁!?モダン大波乱の幕開けなるか!」
今年もまたこの時期がやってきた。プレリリース直後の定例禁止改訂。MTGプレイヤー達がこぞって慌ただしくなるのが恒例行事だ。禁止カードや解禁カードに心を躍らせ一喜一憂する、噂と願望が混ざり合う特有の空気が味わえる貴重な時だ。
そして今回もある噂が流れた。そう、モダンで《石鍛冶の神秘家》が解禁されるのでは?というものだ。
登場から今に至るまでレガシーで活躍し続け、スタンダードではあまりの強さから禁止カードに指定されたこのカード、モダンでも発足当初から当然のように禁止カードに指定されていた。
しかしモダン制定から時は流れ、カードパワーはずいぶんと向上した。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》や《血編み髪のエルフ》など、当初禁止されていたカード達が少しずつ解禁されてきた中での《石鍛冶の神秘家》解禁。仮に本当だったとして、環境にどのような影響を与えるのだろうか?今回はそれについて検証してみよう。
どのような形になるか?
《石鍛冶の神秘家》が活躍したデッキと言えばデスタクとストーンブレードの2つが挙げられる。片や妨害重視の白単ウィニー、片や白青ベースのミッドレンジデッキだが、モダン環境では《不毛の大地》や《リシャーダの港》が存在しないため、恐らくストーンブレード的なデッキになるのではないかと予想される。幸いな事に当時最良の相棒であった《精神を刻む者、ジェイス》も今のモダンでは顕在であり、皆に愛され皆に恐れられたあのデッキがモダンによみがえるかもしれない。
スタンダード時代のストーンブレードをベースに、モダン風のアレンジを加えてみた。
《ヴェンディリオン三人衆》は剣を持たせる先として優秀なだけでなく、このデッキのように4ターン目のプレインズウォーカー着地を狙うデッキにとって3ターン目に前方確認しつつブロッカーを用意出来るという点で優れている。さらに自分の《殴打頭蓋》をライブラリーに戻してから石鍛冶を出すという動きが出来る点もニクい。
プレインズウォーカー枠は《ドミナリアの英雄、テフェリー》よりも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を優先した。石鍛冶デッキはソーサリータイミングで動く事も多く、《ドミナリアの英雄、テフェリー》のプラス能力を活かしきれない。それよりも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のトークン生成能力と装備品とのシナジーが石鍛冶デッキにおいては重要だ。
《殴打頭蓋》以外の装備品に何を選ぶかは石鍛冶デッキを組む際に頭を悩ませる最大の要因だが、《梅澤の十手》の無いモダンでは五種類いずれかの剣を選ぶ事になる。環境的に赤いカードが非常に強く、また石鍛冶デッキは《殴打頭蓋》をうまく着地させられなかった時のライフ管理がタイトになるため、今回は《戦争と平和の剣》を選んでみた。また三本目の装備品として定番の《火と氷の剣》も採用し、バントスピリットなどに対してプレッシャーをかけられるようにもした。
各デッキとのマッチアップはおそらくこのようになるだろう
対イゼットフェニックス
《殴打頭蓋》が着地した場合、ほとんどそのまま勝利できる。《流刑への道》は《弧光のフェニックス》に使い《氷の中の存在》は《精神を刻む者、ジェイス》のバウンスで処理するのが理想だ。サイドボード後は《稲妻》が《炎の斬りつけ》に代わるため《氷の中の存在》を対処しやすくなり、厚くとってある安らかなる眠りのおかげで《弧光のフェニックス》も《弾けるドレイク》も苦にならない。
対バーン
《石鍛冶の神秘家》は確実に除去されるため、5マナで《殴打頭蓋》を着地させる事が目標となる。すべてのリソースをライフ保持のために用いる事は他デッキを使う場合と同様だ。サイドボード後は《コーの火歩き》が安定した装備先になるため、《殴打頭蓋》よりも1ターン早くライフゲイン出来る《戦争と平和の剣》をサーチする方が良いだろう。
対グリクシスシャドウ
互いに遅めのデッキであるため、カードの消耗合戦になりやすい。プレインズウォーカーや装備品のあるこちら側が有利なマッチアップであり、《ティムールの激闘》を絡めた頓死さえケアできれば戦いやすいだろう。どんどん自傷してくるデッキでもあるため、《戦争と平和の剣》によるうっかり勝ちが狙える点も忘れてはいけない。
対アイアンワークス
メインデッキでの戦いは絶望的に相性が悪い。カウンターが薄く、プレインズウォーカーを出すタイミングも無い。《石鍛冶の神秘家》からサーチすべきは《火と氷の剣》で、《屑鉄さらい》を出してからターンを戻させない事でプレッシャーをかけたい。サイドボード後はエンチャントやアーティファクトによる妨害がメインになるため、《防御の光網》をよけやすいという点では多少楽になるが依然として厳しいマッチアップだろう。
対ヴァラクート
ミッドレンジの宿命として対コンボデッキの勝率が悪いため、アイアンワークス同様苦手なマッチアップとなる。サイドボード後も相性は改善しないため、ヴァラクートとの対戦が予想される場合は《高山の月》などを用意するしかないだろう。
対トロン
或いはアイアンワークスやヴァラクート以上に相性の悪いマッチアップだと言える。《殴打頭蓋》はブロッカーとして機能せず、剣のプロテクションも機能しない。トロンの揃いが悪い事にかけて《戦争と平和の剣》サーチからの速攻を狙うべきだろう。
対スピリット
《火と氷の剣》が非常に輝くマッチアップで、装備する事さえできればほぼ勝ちと言えるだろう。負けパターンとしてはマナクリーチャーからのロード連打で火力の射程圏外に逃れられる事なので、早め早めの除去を心がけたい。サイドボード後は《石のような静寂》を入れられる可能性があるため、《摩耗+損耗》で薬瓶と一緒に割ってあげよう。
さて如何だったろうか?《石鍛冶の神秘家》といえばミッドレンジプレイヤー達の憧れであり、私自身も大好きなカードだ。もし本当に解禁されるならば是非デッキを作りたいと思うしモダンでの活躍を信じている。注目の禁止改訂は今夜1時頃、皆も私と一緒に運命の一瞬を見届けよう!
それではまた次回。面白そうな事が起こった時にお会いしよう。それまでの間、あなたの初手に石鍛冶がありますように。