ぶるじょわ
『ラヴニカの献身』プレビューカード先行公開!!
MTGが楽しくなる瞬間は多々あるが、中でもメインデッキに入れた特定の相手に効果的で、それ以外には何もしないようなカードがクリティカルヒットしてなんなくゲームに勝利した瞬間は格別だ。アーティファクトデッキである親和相手に1ゲーム目から《石のような静寂》を貼った日の夕食はいつもより美味しく、《巧射艦隊の追跡者》が《腐れ巨人》とその取り巻きを追放しつくすゲームは肩こり・疲れ目・腰痛・足のむくみなどに効くとされている。
となれば健やかに日々を過ごすためにもそんなカードを大量に詰め込んだデッキを組んでQOL向上を目指したいものだが、残念なことにMTGはそこまで甘くない。1番人気のデッキがはっきりとしている環境でも大会での使用率は中々50%を超えない・デッキの最も強い動きに寄与しないカードを増やせば増やすほど安定性が失われデッキパワーそのものが下がっていく・《さまようもの》を散々笑っていたお前は青白赤コントロールに《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出された返しに《巧射艦隊の追跡者》で楽しくゲームができるのか?などの正論を前に、噛み合いによる一時の快楽を求めてデッキを組んだプレイヤーは縮こまることしかできないのが現代のMTGなのだ。
さて、そろそろプレビューに入ろう。今回ENNDALGAMESが紹介するのはそんな縮こまりがちなプレイヤーが一矢報いる機会を与えてくれるカードだ。
トークンでないクリーチャーが1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、それがあなたがコントロールしている他のクリーチャーやあなたの墓地にあるクリーチャー・カードと同じ名前を持たない場合、カードを1枚引く。
フレイバーテキストにも書いてあるように、デッキ内のクリーチャーが多様性を増せば増すほど強くなるエンチャントだ。特定の相手にだけ効果的な能力を持つクリーチャーをとにかく詰め込んだデッキでもこれを4枚入れておくだけで、「安定性が…」なんて突っ込みに「黙れ!俺は多様性を確保してるんだ!」と至極真っ当な反論をすることが可能になる。《守護者計画》を設置したら、特に何もおきないクリーチャーでもとりあえずプレイしてカードを引き、対戦相手に噛み合うカードにたどり着こう。
また、シミックは案外寛容なのか《守護者計画》は見た目よりもカードを引く条件は緩いので、そこまで多様性のあるデッキ内容でなくても「探査」のような自分の墓地を追放できる能力で多様性のある振りをする、《組み直しの骸骨》だけをひたすら行き来させ続けて多様性の新たな形をアピールする、なんてことも可能だ。もちろん元から多様性しかない統率者戦ではすべてのクリーチャーがキャントリップとなる。普通に使うだけでも除去されづらくカードを引く機会が増えた《獣に囁く者》として活躍してくれることだろうし、シミックらしく《幽霊のゆらめき》《永遠の証人》、《食物連鎖》《霧虚ろのグリフィン》などのコンボに組み込むのもいいだろう。安定性と多様性の理想的なバランスを求めて是非色々なフォーマットで使ってみてほしい。