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2019年1月22日
ネタ蒔き時

ネタ蒔き時の枕草子 第二十一話「さらばKCI、男の涙は一度だけ!」

 すわ《石鍛冶の神秘家》解禁かと業界を騒がせた禁止改訂であったが、ふたを開けてみれば石鍛冶の「い」の字もなく、代わりに《クラーク族の鉄工所》が禁止となってしまった。石鍛冶フリークの皆さんはまた次回禁止改訂の日までおあずけとなってしまったが、いつの日かきっと解禁されるだろうその日を私も待ち続けよう。(禁止制限告知はこちら⇒ https://mtg-jp.com/reading/publicity/0031683/)

  • (5DN-UA)Krark-Clan Ironworks/クラーク族の鉄工所
禁止されてしまった《クラーク族の鉄工所》

 さて、今回禁止された《クラーク族の鉄工所》だが、そのカードパワー自体は十分禁止されるに値するものだ。しかし今回禁止の運びとなった理由を読んでみると、その強さの他に「ルール的な難解さ」が挙げられていた。このようなケースは非常に珍しい。では《クラーク族の鉄工所》のルール的な難しさとはどこにあったのか?今回はそれについて振り返ってみようと思う。

KCIの動き方

 《クラーク族の鉄工所》が脚光を浴びたのはその名を冠したデッキであるKCIの誕生によってだ。このデッキは大量のアーティファクトで構成されており、それらを連鎖させる事で最終的には無限マナを生み出す。具体的な流れは下記のようになる。

  • 《クラーク族の鉄工所》と《屑鉄さらい》を戦場に出す。
  • その状態で《オパールのモックス》や《彩色の星》などの軽量アーティファクトをマナに変換していく。
  • 《彩色の星》や《テラリオン》《胆液の水源》といったカードによってドローを進めていく。
  • Aパターン
    《練達飛行機械職人、サイ》と《イシュ・サーの背骨》をそろえる。《イシュ・サーの背骨》→《胆液の水源》→《彩色の星》→《オパールのモックス》と連鎖させる事で無限マナ無限ドローが成立する。(《イシュ・サーの背骨》+《テラリオン》+《彩色の星》+《オパールのモックス》で合計10マナ。これら4つと生成された飛行機械トークン4体を生け贄に捧げて生み出すマナが16マナ+好きな色のマナ1点。)
  • Bパターン
    《屑鉄さらい》の二枚目と《マイアの回収者》をそろえる。《マイアの回収者》と《屑鉄さらい》が互いを回収しあい、そのついでに回収した他アーティファクトで無限マナ無限ドローを生成する。

 最終的にはどちらのパターンでも無限に《黄鉄の呪文爆弾》を回収する事で無限ダメージを与えて勝利となる。無限ドローの部分は任意のタイミングで「2マナを《精神石》、1マナを《彩色の宝球》」にする事で止める事が出来るためライブラリーアウトを気にする必要もない。

マナ能力のふしぎ

 さて、ここからが問題だ。上記のBパターンでは《マイアの回収者》と二枚の《屑鉄さらい》が必要だったが、これが1枚の《屑鉄さらい》で済むパターンが存在する。《マイアの回収者》で《屑鉄さらい》を回収するためには《屑鉄さらい》が墓地にいなければならないが、それでは《マイアの回収者》で(《屑鉄さらい》を含めた)2枚のアーティファクトが回収できない。一見すると成立しようがないルートなのだが、これを成立させるルートが発見されたのだ。具体的には下記のようになる。

戦場:《クラーク族の鉄工所》《屑鉄さらい》《マイアの回収者》《彩色の星》
墓地:《オパールのモックス》
手札:《彩色の星》

  • まず《彩色の星》生け贄で2マナ、回収した《オパールのモックス》の起動と生け贄で3マナ、合計5マナを生み出す。
  • 次に手札から《彩色の星》を唱える。
  • マナの支払いを求められるが、ここで《マイアの回収者》→《屑鉄さらい》の順番でマナに変換する。 マナプールには9マナが存在する。 ※《クラーク族の鉄工所》の起動型能力はマナ能力であり、マナ能力はプレイヤーが優先権を持っている時、またはマナの支払いが求められている時に起動できる(CR605.3a)
  • 《マイアの回収者》の能力(A)、《マイアの回収者》が死亡した事による《屑鉄さらい》の能力(B)、《屑鉄さらい》自身が死亡した事による能力(C)の3つが誘発する。しかしこの段階ではスタックには積まれず対象も選ばない。(CR603.3)
  • 生み出したマナからコストを支払い、《彩色の星》を唱える事が完了する。 マナプールには8マナが存在する。
  • あなたが優先権を得て、先ほど誘発した3つの能力がスタックに積まれる。対象として《屑鉄さらい》(A)、《彩色の星》(B)、《マイアの回収者》(C)を指定する。能力を解決し、それらが手札に戻る。
  • 回収した《マイアの回収者》《屑鉄さらい》を唱える。これで初期状態(+《彩色の星》で引いた何かしらのカード)が再現され、マナプールには3マナが存在するため無限マナ無限ドローが成立する。

 このように、マナ能力の起動タイミングと誘発型能力との関係性によって本来なしえないはずのループが成立していたのだ。なんとも奇妙な話ではあるが、これを知っているか否かでKCIの勝率は大きく変わってくる。

 筆者の覚えている限りで、この関係性を活用したデッキはこのKCIが初ではないかと思う。(統率者における《覇者シャルム》と《ファイレクシアの変形者》を用いた無限ループがこれに似ているかもしれない)このループを初めて目にしたときはその美しさに見惚れてしまったものだが、あまりにも複雑すぎるのもまた事実ではあった。もうモダンでその姿を見れないと思うと一抹の寂しさがあるが、きっとまた誰かが新しい面白デッキを作ってくれる事だろう。

 それではまたいつの日か、面白そうな話題が出てきた時にお会いしよう。それまでの間、あなたのマナプールが潤沢でありますように。